頭皮トラブル
頭皮の臭いの原因は?毎日のヘアケアが臭いを生み出しているかも
「頭や髪が臭う気がする」時の原因の大半は「頭皮」にあります。頭皮環境が悪くなってしまうと臭いが出やすい、あるいはつきやすい状態になってしまいます。
頭皮の臭いの原因は大まかに分けると4つ。自分にとって当てはまる要因はないか、セルフチェックしてみて下さい。
原因その1.皮脂の臭い
頭皮の臭いの原因として一番多いのがこの「皮脂の臭い」です。体臭にもつながりやすく、頭皮だけではなく体臭が全体的に気になる場合はこの皮脂が臭いの元になっているケースがほとんど。
自然の分泌物である皮脂が何故臭いの元になってしまうのでしょうか?
皮脂は酸化して臭いが出やすい分泌物
皮脂は皮脂腺から毛穴を通って皮膚や頭皮の表面ににじみ出てくる分泌物です。
正常な状態であれば、この皮脂は本来皮膚や頭皮の乾燥を防ぎ、細胞の保護をする役割があります。
皮脂は長時間大気に触れていると徐々に酸化が進みます。この間も汚れを溜め込み続けますので、最終的には黒ずんで粘着力の高まったベタッとしたものに変化してしまいます。
このベタッとした皮脂から、酸化した酸っぱい臭いと汚れの混じり合った臭いが発生してしまうのです。
ホルモンバランスの乱れで大量分泌
皮脂はホルモンによって分泌量が調整されます。皮脂分泌に関わるホルモンは2種類あり、それぞれがバランスを取り合うことで過剰、あるいは不足を補っています。
- エストロゲン
- 女性ホルモンのひとつで、皮脂の過剰分泌を抑え肌を健やかに保ちます。しかし、エストロゲンが過剰すぎると乾燥が進み痒みやカサつきの原因になります。エストロゲンは加齢によって分泌が低下するので、30代以降から皮脂分泌のバランスが崩れやすくなります。
- プロゲステロン
- 皮脂の分泌を促進する女性ホルモンです。エストロゲンと対になっているホルモンとも言われ、エストロゲンが低下するとプロゲステロンが増加します。思春期や生理前になるとこのプロゲステロンが活発になり、皮脂腺が刺激されて大量に皮脂を分泌してしまい、ニキビ、肌荒れ、皮膚臭の原因になります。
皮脂はエストロゲンとプロゲステロン、両方の均衡が保たれていれば必要な分だけしか分泌されないので肌荒れ要因にも臭い要因にもなりにくいものです。
このホルモンバランスの乱れは思春期、生理前、更年期の女性の体臭に大きく影響を及ぼします。臭い以外にも、白髪や抜け毛、肌荒れの原因でもありますので、まずはこのホルモンバランスの乱れから改善する方が良いのです。
乾燥も皮脂大量分泌の元
「皮脂が原因ならば、皮脂を出さなければ良い」と考えたくなってしまう方もいるかもしれませんが、皮脂は”悪者”ではありません。先述した通り、肌や頭皮を外部刺激から守る保護機能を果たす大切なものです。
この皮脂が足りない状態が続くと、体が「もっと皮脂を出して肌を守らないと、皮膚病になってしまう」と判断し、大量にプロゲステロンを作り出します。
「皮脂憎し」で洗いすぎたり、抑制しすぎたりすると余計に皮脂を生み出してしまい、過剰分泌された分肌荒れや頭皮荒れのリスクも高くなってしまうのです。
原因その2.汚れの臭い
「臭い」がすれば「何かの汚れかな」と感じる人も多いでしょう。大抵の場合、汚れが原因ならば髪全体からも臭いが発生します。
そのため髪の長い女性などは特にこの汚れ臭いがつきやすく、一日中ふとした拍子に気になってしまうことも少なくはありません。
では頭皮や髪につく汚れの正体とは一体なんなのでしょうか?実はそれは非常に女性の身近にあるものばかりです。
大気中には臭いを生み出す有害物質もある
生活していれば、どんな環境においても汚れは発生します。なぜなら大気中には色々な汚れが常に生み出されていて、私達が今、この瞬間に吸い込んだ空気にも汚れはあるのです。
大気中には自然に生み出される汚れた有害物質が多く存在します。特に現代社会では工業用有害物質も多く、それは時としてアレルゲンにもなりかねないものもあります。
- 花粉
- ハウスダスト
- 排ガス
- ペンキなどに含まれる揮発性化学物質
- ウイルスや細菌
これらには元々臭いがあり、皮脂と混ざることで人体の嗅覚にも届くレベルにまで臭いが成長することがあります。
しかしそのほとんどは「目に見えるもの」ではありませんので、避けることも難しいですし一切をシャットアウトすることも不可能に近いといえます。
日常生活の中に潜む「臭い汚れ」の元は
盲点になりやすい臭いの元の中には、生きていく上で欠かせないような行動レベルのものもあります。
その中でも女性にとって最も避けがたいのが調理油の臭いです。調理自体をしていなくても、レストランやファストフード店などに行くと油の臭いはすぐに衣服や髪についてしまいます。
また、煙草やアルコールなどの臭いも皮脂と混ざることで重たい脂溶性の臭いに変わりやすい物質です。
外食から帰ってくると油とタバコの臭いに気がつくという方も少なくはないと思いますが、それは大抵の場合「自分の皮脂と生活臭が混ざってしまうことで変化した臭い」と考えて良いでしょう。
職場や家庭内で臭いが発生しやすい環境にある方は、頭皮の臭いも発生しやすい状況にさらされていると考え、臭いのリセットを1日一回は行うという意識がけをした方が良いかもしれません。
体の内側の汚れも外側に排出される
汚れは外側から付着するだけでなく、内側から皮脂と一緒ににじみ出てくるものもあります。
- 新陳代謝による老廃物の臭い
- 人体は細胞で作られており、この細胞は古くなってくると死滅し新しい細胞と入れ替わります。これはターンオーバーと呼ばれており、生まれてから死ぬまでこのターンオーバーは続きます。
ターンオーバーによって入れ替わった古い細胞は「老廃物」として人体の外に排出されますが、排泄物だけではなく汗や皮脂の中にも老廃物は含まれます。老廃物は有機物ですので、排出がうまくいかないと腐敗し臭いを発生させてしまいます。
- 細胞レベルでのSOS
- 細胞は内臓の働きによってその質が変化することがあります。疾病などで内臓の働きが衰えた場合、細胞の質が変化し極端に腐敗が早く進む細胞が生み出されたり、内臓から臭いが分泌されて皮脂や汗腺から臭いが排出されることがあります。
胃腸や肝臓、腎臓などデトックスに関わる内臓に不調があると、頭皮を含む体臭が酸化した酸っぱい臭いを発生させることがあります。
外側から付着した汚れであれば、一度シャワーを浴びれば大半は落ちてしまいます。しかし内側の汚れの場合は洗い流すことは出来ませんので、日頃から食生活などの見直しを行うケアが必要不可欠なのです。
原因その3.菌の臭い
汚れの中に含まれている大気中のウイルスや細菌とは他に、頭皮の臭いの原因になる菌というものもあります。
この菌は頭皮以外にも体臭の元になることもありますので、頭皮の臭いが気にならずとも体臭が気になる人は「頭皮も臭っているかも」と気に留めたほうが良いかもしれません。
人の体には「常在菌」が存在する
人体には膨大な種類の「菌」が生息しています。
これを常在菌と言い、人の皮膚にも数千〜一兆近くの種類の常在菌が存在します。
- 表皮ブドウ球菌
- 分泌された皮脂を好み、皮脂を分解(食べる)時に潤い成分のグリセリンを分泌したり、肌を弱酸性に保つための脂肪酸を作り出したりする菌です。肌の保護膜を作る大切な常在菌のひとつですが、脂肪酸は長時間たつと酸化し臭いを発生させます。
- アクネ菌
- ニキビの元になる「悪い菌」というイメージが強いですが、通常人の皮膚に存在しているだけなら悪影響はありません。表皮ブドウ球菌と同じく肌を弱酸性に保つ働きがありますが、皮脂分泌が過剰になるなどで毛穴が塞がれると異常増殖してしまい、それがニキビの元になります。
- 黄色ブドウ球菌
- アクネ菌と同じく通常存在しているだけでは悪影響はありません。しかし他の菌と比較すると炎症を起こすなどの病原性が高く、肌がアルカリ性に傾くと異常増殖するという傾向があります。その際悪臭を放つ事があり、これが体臭や頭皮臭の原因のひとつになります。
その他水虫の原因になる白癬菌などの菌もあり、その人の体調によってその数は毎日変動しています。臭いを発生させる菌は複数あるため、一概に「黄色ブドウ球菌だけが悪い」ということではありません。
菌は菌によって捕食されたり抑制されたりするので、程よいバランスを保つのが最も「無臭」に近い状態をキープ出来るということになるのです。
常在菌が増えすぎる原因は複数
常在菌は人の体の中や表面で「共存」しているものですから、人体そのものが「住環境」です。住環境が変化すればその数は一気に増殖、あるいは減少します。
細菌では「腸内フローラ」という言葉が浸透しつつあり、「善玉菌と悪玉菌が腸の中でバランスを取っている」というのはご存知のお方も多いと思います。
体調不良などで腸内環境が乱れれば、善玉菌が減少して体にとって悪影響を及ぼす悪玉菌が増殖するという仕組みは有名ですよね。
皮膚上の常在菌にもこれと同じようなことが言え、住環境が変化すれば皮膚トラブルを起こす原因となり得る常在菌が増えてしまうのです。
菌が増えるのは体からのSOSであることも
臭いを生み出す常在菌が増えるのは、何も皮膚のpHバランスだけが影響するわけではありません。体の内側が原因になることもあります。
- 体調不良などで皮脂や汗の濃度が変わる
- 紫外線の影響により表皮ブドウ球菌が変質する
- ストレスなど自律神経の乱れにより皮脂分泌量が変わる
- 加齢によって皮脂分泌量が変化し、乾燥しがちな状態になる
このような内側の変化によって、エサとなる皮脂の質や量が変わるとそれを好む常在菌の種類や質も変化します。
それまでは特に気にならなかったのにある日から突然に頭皮の匂いが気になるようになった、という人はこの常在菌の質、すなわち体調面に起こった変化が原因のひとつかもしれません。
ヘアケアや生活習慣にありがちなミステイク
皮脂、汚れ、菌…頭皮が臭う大きな3つの原因は、毎日のケアで緩和することが出来ます。しかしこのケア方法が間違っていると、臭いが余計に強くなることがあります。ついやりがちな「臭い対策の間違い」をピックアップしてみましょう。
食生活の乱れ・睡眠の乱れ
臭いの原因になる大きな要因として、「不摂生な生活」というものが挙げられます。
人間は食事の内容や睡眠、運動などによって構成される有機細胞で出来ています。
そのためこれらが不足、あるいは過剰な状態になると、上記したような「臭いの原因」を引き起こすきっかけとなってしまいます。
- ホルモンバランスの乱れによって皮脂分泌量が変化
- 肌pHや皮脂質の変化によって常在菌の増殖、質の変節
- 活性酸素の増大によって皮脂や細胞の酸化促進
こうした状況を断ち切るためには、まずは食事の内容、バランス、摂取する時間を見直したり、睡眠を十分に取って活性酸素を除去するなどのインナーケアが重要になってきます。
シャンプーのし過ぎ
皮脂や汚れを取り除き、臭いの原因をリセットするという意味では非常に有効なシャンプー。
ですが、このシャンプーのし過ぎや選んだ化学成分の質によって、皮脂分泌量が変化し結果的に常在菌が増え、臭いが強くなるということがあります。
表皮ブドウ球菌は臭いの原因菌となる黄色ブドウ球菌を抑制する、ということは先述した通りです。
適切なシャンプーであればこの表皮ブドウ球菌が激減してしまうほどではありませんが、過剰な回数や強い洗浄力をもつ界面活性剤を使用したシャンプーの場合には考えられるリスクです。
髪を洗っているのに頭皮の臭いが取れない、と感じる方は、むしろ「洗いすぎによって臭いが強くなっている」可能性の方が高いことを考え、シャンプーの回数を減らす、マイルドなアミノ酸系のシャンプーにするなどの対策を取りましょう。
ドライヤーの使い方
シャンプーの仕方と同様、ケアしているつもりが臭いを生み出す原因になっているものとしてドライヤーの使い方というものもあります。
髪を早く乾かすための道具として一家庭にひとつはあるほどの便利アイテムですが、最近は「ドライヤーの熱が髪のキューティクルを開きダメージを与える」ということからあまり使用しないという人も増えています。
しかし、頭皮の臭いの原因となる黄色ブドウ球菌を始め、人の皮膚上に存在する細菌はそのほとんどが「湿気を好む」性質があります。
ドライヤーの熱がキューティクルを傷めることは事実ですが、それは「同一箇所に高温熱を当て続けた場合」がほとんどです。地肌はドライヤーを使って良く乾かし、髪はドライヤーを低温にして湿気を飛ばしましょう。
自分の頭皮の臭いをチェックしてみよう
近年色々な「ハラスメント」が取り沙汰されていて、その中には「スメハラ(スメルハラスメント)」もあります。
体質などどうしようもない部分もありますが、臭いは対策を取ることで緩和できるケースも多くあります。
無意識に他人に「スメハラ」を与えていないかどうか、対策を取る必要があるかどうか、まずはセルフチェックする習慣をつけることも大切な意識がけです。
頭皮の臭いのセルフチェック、実は非常に簡単かつシンプルに行えます。
- 清潔にした指で頭皮をマッサージするように押し当て、指の臭いをチェック
- 帽子を数時間被った日はその帽子の臭いをチェック
特に耳の後ろあたりは皮脂腺も多く、かつ通気性が悪いため湿気もこもりやすい(雑菌が増殖しやすい)場所です。セルフチェックの際は耳の後ろ、頭頂部、後頭部あたりの臭いをチェックしてみると自分の頭皮の臭いを感じやすくなりますよ。