フケ
フケに効く薬とは?原因によって対処薬も変わるって本当?
肩や背中に白っぽいフケがついていることに気がついた時、ブラッシングをした後に髪の分け目に細かいフケが溜まっていることに気がついた時…老若男女を問わず、フケを見つけると気分も落ち込みますし、不衛生に見えるのではないかと人目を気にするようになってしまいます。
もちろん、衛生的にしていれば通常はそれほど目立つフケは出てきません。
しかし、毎日シャンプーをしていても病気や体質、感染症など何らかの原因でフケが浮きやすいという人は実は意外と多くいます。
フケの対策を知りたい!という人は、まず自分のフケがどのような原因で起こっているのかを確かめる必要があります。
原因がわかれば、それに合わせた薬を選ぶことも簡単になるのです。
フケに効く薬は原因によって変わる
フケに効く、と謳った薬は一般的にもよく目にしますが、すべてのフケ症の方に共通なわけではありません。
薬剤の効能はその人の症状に合えば素早く効果を実感出来ますが、全く無関係の原因がある場合、改善が見られないということも良くあることなのです。
外用薬と内服薬
フケ対策に用いられるお薬は、大まかに分けて2種類あります。どちらかを使えば効果が出る、という人もいれば、両方使わないと効果が無いという場合もあります。
- 外用薬
- 主に外部からの原因が主要因である人に用いられます。シャンプー後に毎回付けるタイプもあれば、外出先でも気軽につけられるものも多くあります。
- 内服薬
- 体質など内部的要因が大きい人に用いられます。生活習慣やストレスなどによってフケが出てきてしまうという人も、内服薬で改善するケースが多いと言われています。
まずは原因を知ることから始まる
フケにはいくつかの原因があります。
- 保湿剤などが必要:乾燥によるフケ
- 男性にも女性にも多いのがこの乾燥によるフケ。頭皮が異常に乾いてしまった結果、ターンオーバーが乱れ古い角質がどんどん剥がれ落ちてしまい、これがフケになります。
- 抗真菌薬などが必要:菌の増殖によるフケ
- 人間の頭皮には常在菌(真菌)という細菌が数百万という種類に渡って住み着いています。この菌類が古い角質をエサにして皮脂を作ったり、外部の汚れを除去したりしているのですが、何らかの原因でこの真菌が増えすぎるとターンオーバーサイクルが崩れてしまいます。
- それぞれの治療薬が必要:体質や疾病によるフケ
- アトピー性皮膚炎などを始めとする皮膚アレルギー症状でもフケは出やすくなります。不衛生にして勝手に剥がれ落ちるフケとは違い、まだ剥がれる必要のない皮膚さえ剥がれてしまうため赤みを帯びたり、強いかゆみやひりひり感を感じる人もいます。また、シラミや水虫などの感染症が原因であることもあります。
- ビタミンなど栄養補給が必要:生活習慣やストレスによるフケ
- 食生活の乱れ、睡眠リズムの乱れ、アルコールや煙草、過度なストレスによってもフケが出ることがあります。これらも新陳代謝のリズムを狂わせる要因ですので、アレルギーや真菌などの原因が見つからないという人は、こうした生活習慣を改善し長期的に体質を作り変えていく必要があります。
外用薬と内服薬を併用する必要があることも
先に述べたような代表的な原因以外にも、内臓疾患や遺伝的要因などによってフケが出やすい人もいます。
どういった場合にせよ、自分だけでフケが出てしまう正しい原因にたどり着くことは難しいですし、医師による処方薬の方が効能が高いため即効性も期待できます。まずは原因究明のために皮膚科を受診することをおすすめします。
外部的要因や刺激を抑える「外用薬」
一般的にいう「塗り薬」「貼り薬」を外用薬と言います。皮膚表面に原因がある場合や、炎症(赤み、かゆみ、痛み)がある場合に用いられます。
ステロイドが配合されている薬
中等度〜重度の炎症が起きている場合、ステロイド剤の配合されている塗り薬が効果的と言われています。
ステロイドはその効能の強さによって5段階に分けられます。
- weak(弱い)
- mild(穏やか)
- strong(中等度)
- very strong(やや強い)
- strongest(強度)
ただし、これは炎症性のフケ(皮膚炎や湿疹)には効果的とされているものの、真菌性のフケ(水虫など)に使用するとより悪化させる可能性もあります。原因をきちんと判別させてから使用して下さい。
抗真菌薬が配合されている薬
人間の皮膚上には多くの常在菌(真菌)が共存しており、この菌類によって外部刺激の毒素の侵入を防いだり、皮膚のバリア機能が守られたりしています。
また、足によくできる水虫(白癬菌)ですが、頭皮にも出来ることがあります。足の裏の湿度と頭皮は非常によく似ていて、どちらも白癬菌が異常繁殖しやすいと言われています。
この菌類の異常繁殖を抑え、炎症を鎮める効果をもつのが抗真菌薬です。
ただし、乾燥肌を起こしやすい一面もあるため乾燥性のフケ症については余計に悪化させてしまうリスクが伴います。必ず医師と相談の上で使用して下さい。
乾燥を防ぐための保湿剤やローションタイプの薬
現代人の肌は特に乾燥しやすいと言われています。近年ではフケに悩む女性も増えているとされていますが、そのほとんどは「乾燥性のフケ」、つまり頭皮のドライスキンです。
お顔や手足は化粧水やクリームなどで保湿していても、頭皮は何もしていないという人がほとんどではないでしょうか。ですが、この放置されている頭皮も立派な皮膚の一部です。
- 紫外線に晒されやすい部位
- 外気に晒されやすい部位
- 帽子などで蒸れた後にも放置されやすい部位
- 髪の毛があるため保湿剤をつけづらい部位
このように、頭皮にはドライスキンを起こす要因がいくつも隠れています。
このような場合には、頭皮の保湿を主目的とした薬用のローションやクリームを用いるのが有効です。市販もされていますが、医師によっては保湿剤を処方する場合もあります。
ドラッグストアなどでも、フケを防ぐ薬用シャンプーなどが販売されています。
ドライスキンの場合刺激に敏感になっている場合が多いため、敏感肌にも使えるタイプのものを選ぶようにしてみましょう。
内部的要因や体質からくるフケを抑える
外部的要因以外にも、フケを大量に発生させてしまう原因が体の中に潜んでいることがあります。
この場合、外用薬ではなく内服薬が必要になります。内服薬の場合、2週間〜1ヶ月以上服用し長期的な治療を行うケースも多いとされています。
抗ヒスタミン剤が配合されている薬
花粉症を始めとするアレルギーが原因となって、皮膚上に炎症を起こし、かゆみや発赤、発疹などと同時にフケが大量に出ることがあります。
ただし、抗ヒスタミン剤は「アレルギーを治すお薬」ではないので、アレルゲンを体内に取り込まないようにする、代謝を高めデトックス機能を活性化させるなどの生活改善も同時に行うことが大切です。
内部的要因がある場合はそれらの対処薬
アレルギー以外にも、疾病によって皮膚の炎症や乾燥、代謝異常を起こすものがあり、それらが根本的な要因となってフケを発生させることがあります。
- 脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患
- 膠原病など自己免疫疾患
- 甲状腺異常によるホルモン分泌力の異常 など
こうした病気が根本にある場合はそちらの治療を優先させる場合も多いのですが、体質にも関わってくるため改善までに非常に長い年月を要するケースもあります。
根気よく医師と相談しながらフケを抑える対処方法を実践することも大切です。
ターンオーバーをサポートするためのビタミン剤
肌のターンオーバーは食べ物や飲み物から得る栄養を源にして行われますが、この細胞の活動を支えるのが「ビタミン」です。
美肌のために…とサプリメントを愛用している方も多いと思いますが、肌の代謝を助けるビタミンは複数あるので、偏った飲み方をしないようにしましょう。
- ビタミンB群
- ビタミンC
- ビタミンA
吸収力を高め効率的に摂取出来るよう調整されたものを処方薬として出す医師もいます。
フケは原因が複合している人も多い
外用薬、内服薬と分けてご紹介致しましたが、大半の人は「両方」が必要になると言っても過言ではありません。
そもそもフケというのも皮膚の一部、つまり私達の体の一部であったものです。すりむき傷など明らかに「外部にしか要因がない」といったことのほうがむしろ少なく、多くの原因は外側と内側、両方が絡み合って生まれます。
フケは長期治療となることもよくあるのですが、諦めず少しずつ治療を進めれば再発する可能性も低くなります。