敏感肌、アレルギー
ヘアカラーアレルギーの原因と対策。カラー前にチェックすべき5か条
ところで、ヘアカラー剤でもアレルギーが起きる、ということをご存知でしょうか。
- 元々肌が弱い
- 化粧品でかぶれたことがある
- 皮膚に異常が起こりやすい
このようなタイプの方は特に注意が必要です。アレルギーを一度起こした場合、同じ薬剤を使うことで更に重篤な症状を起こす場合もありますので、まだアレルギーを起こしたことはないという人も予防対策は打っておくほうが無難。
ヘアカラーアレルギーとは何なのか、その原因や対策について覚えておくことが「症状を未然に防ぐ」ためのキーポイントでもあるのです。
ヘアカラーアレルギーはなぜ起こる?
「直接飲み込んだりするものではないのにアレルギーが起きるの?」とお考えになる方もいるのですが、アレルギーは体内に入り込まずとも反応が出ることがあります。
アレルギーは紫外線、大気中のチリやゴミでも起こり得ますので、当然地肌や髪に直接触れるカラー剤もアレルゲンとなることがあるのです。
刺激性接触性皮膚炎とアレルギー性接触性皮膚炎
ヘアカラーでかぶれや湿疹、ただれを起こした場合、まずは大きく「接触性皮膚炎」という見立てになります。
この接触性皮膚炎はさらにその原因によって2つに分類されます。
- 刺激性接触性皮膚炎
- 薬剤や物質の毒性に対し、皮膚に赤み、発疹などの「かぶれ」が起きた状態です。草木、虫などがもつ自然の毒性などに肌が反応し、かゆみや痛みを伴うようなただれ、発疹が起こる状態のことで、アレルギーを持っていない方にも起こり得ます。
- アレルギー性接触性皮膚炎
- 配合されている成分に対しアレルギー抗体を持っている人が皮膚炎を起こす状態です。配合されている成分に対してアレルギーがある場合、他の大多数の人にとっては全くの無害であっても赤みやかぶれ、発疹などの症状が出ることがあります。
もしもヘアカラーを使った時に皮膚に異常が現れた場合、自分の根本的な原因がどちらにあるのかを医師に診断してもらう必要があります。
アレルギー性の場合、一体どんな成分に対しアレルギー反応が出たのかを知らなければ、薬剤を変えたとしてもその成分が配合されていればまた接触性皮膚炎が起こってしまいます。
ヘアカラーに含まれる成分が合わない
ヘアカラー剤には多種多様な成分が配合されていて、そのうちのいくつかはアレルギー反応を示す場合があるとされています。
- 発色を促すための「過酸化水素」
- ジアミンなどの「酸化染料」
- キューティクルを開き毛に色素を導入する「アルカリ剤」
カラー剤の三大原料とも言われていて、ほとんどのメーカーのヘアカラー剤に配合されているのですが、これらの化学物質によってアレルギーを起こす人は実は少なくはありません。
また、近年では「発色」や「色持ち」の効果を高めるためにこの薬剤が協力に働きかけるよう配合されているため、体が敏感に反応してしまう人も増えています。
元々の体質でアレルギーが出やすい場合
体質的にアレルギー反応を起こしやすいという人もいます。
- ご家族やご親族にアレルギー体質の方がいる
- 免疫力が下がっている
- 花粉症や食品アレルギーなど、何らかのアレルギーがある
アレルゲンは無数にあり、すべての人に共通しているわけではありません。1万人の人に大丈夫であったとしても、たった一人だけとある成分がどうしても体に馴染まないという人ももちろんいます。
また、元々何らかのアレルギーを持っている場合、自己免疫が過敏になっていますので、ちょっとした刺激にも免疫が反応し抗体を作り出してしまうこともあります。このような体質の方はより一層の注意と予防対策が必要です。
ヘアカラーアレルギーで起きる症状とは?
ヘアカラーアレルギーと言われても、ちょっと染みるだけという人もいますし、命に関わるような重篤な症状を示す人もいます。アレルギー症状の強弱も千差万別なのですが、一番恐ろしいのはアレルギーは回数を重ねるごとに重症化しやすいという点。
最初は軽い症状でも、気が付かずに何度も繰り返してしまえば、それは非常に危険ということになるのです。
かぶれによるかゆみ、刺激
接触性皮膚炎全般によく現れる症状なのが、皮膚の違和感です。
- かゆみ
- ウズウズとしたかゆみ、強烈なかゆみ、と強弱は様々ですが、多くの人が感じるのが「蕁麻疹と同じような全体的なかゆさ」です。虫刺されなどとは違い、薬剤が触れたところが突発的、かつ全体的に強烈な不快感を伴うかゆみが起こります。
- 刺激
- ピリピリ、チクチク、ジンジン、といった刺激を感じます。急に地肌を細かい針で刺されているような、小さな棘が沢山刺さってしまったような「鋭い感覚」が多いと言われています。頭痛のように「ズキズキ」するような重だるい刺激ではない方が多いようです。
- 熱感
- 主に薬剤が接触した部分に、ヒリヒリ、ドクドクといった熱感(熱さ)を感じる方もいます。急に血行が良くなったような脈拍性の熱感を感じる人もいますし、軽い火傷をした時、熱すぎるお風呂に入ってしまった時のようなひりつくような刺激をまんべんなく感じる人もいます。時間が経つにつれて熱感が増してくる人もいます。
これらの皮膚の違和感がどれかひとつ出る、という人もいますし、すべてが一度に出るという人もいます。なんらかの違和感があったら、ヘアカラーアレルギーを疑い、すぐに薬剤を洗い流しましょう。
発疹、赤み、水疱、ただれ
皮膚の違和感だけで済めば、正直な話「儲けもの」と言えるかもしれません。
アレルギー反応が重く出てしまった場合や、軽い違和感を無視したり何度もアレルギー反応を起こした場合には、感覚だけでなく皮膚そのものに異常が出てしまうこともあります。
- 発疹、赤み
- 赤、あるいは赤黒いような丘疹(中心が赤く腫れるもの)、毛穴が炎症を起こした様な毛包炎、ケロイド状の発疹が出る場合もあります。体質によっては薬剤をつけていないはずの顔や背中、手足にこのような発疹が広がってしまう人もいます。
- 水疱、ただれ
- 赤みや発疹が出た部分に水疱が出来る上、その水疱が破れ中から浸出液が出てきてしまい、ぐじゅぐじゅとしたただれが起こってしまう人もいます。かゆみより痛みが強くなる場合もあり、中には出血や化膿を起こしてしまう場合もあります。
発疹や赤みは時間経過とともに軽症化する人も多く、実は放置してしまうアレルギー反応としては一番多いパターンになります。
しかし、こうした症状を何度も繰り返すと時間経過とともにただれを起こす、化膿するなどの重症を起こしかねません。
また、顔や手足など頭皮とは関係のなさそうな部分に出ることもあるため、「ヘアカラーが原因」とは思わず食品やその他の化粧品のアレルギーと勘違いしてしまう人もいます。発疹が起こったら「出る数時間前(24時間程度)までの行動」はすべて疑いがあります。
全身性の症状
アレルギー症状は重篤化した場合、全身性の症状を起こすこともあります。「アナフィラキシーショック」と呼ばれるもので、短時間のうちに全身性の症状を引き起こします。
アナフィラキシーショックが起きるアレルゲンは食物が多いと思われがちですが、虫毒(蜂など)や薬剤でも少なからず起こります。
また、1度目はそこまでではなくても2度目には救急車を呼ばざるをえないほどの重篤症状が出ることもあります。
ヘアカラーアレルギーの対策5か条とは
アレルギーをすでに起こしたことがある人はもちろんですが、アレルギー反応は「蓄積されて引き起こされる」ものであるため、「起こしたことがない」人も予防対策の知識を持っておくほうが安全です。
何をすれば予防に繋がるのか、自衛手段をいくつかまとめてみました。美容院で行う際も、ご自身でセルフカラーをする際も、必ず以下のポイントは注意しておくようにしましょう。
その1、成分表を確認
先述した通り、ヘアカラーに含まれている成分によってヘアカラーアレルギーが引き起こされるケースが最も多くあります。
ジアミンは遅延型アレルギー(24時間〜48時間で発症するアレルギー反応)を起こすことも多く、最初は原因がわからなかったという患者さんもいます。
心配のある人は美容院、あるいはプロ仕様のヘアケア剤を販売しているメーカー通販などを利用し、購入前には必ず成分表を確認するように習慣をつけましょう。
その2、パッチテストを毎回行う
カラーリングの使用説明書には必ず書いてありますが、実は「実践している」という人が少ないという現状がある「パッチテスト」。
今すぐ染めたいのに、薬剤をつけて数日待つなんて面倒くさい…と感じてしまう人も多いとは思いますし、面倒くさがりな筆者にもそのお気持ちはよく理解出来るのですが、いきなり頭部全体に薬剤をつけるリスクは確実に減らせます。
<パッチテストのやり方>
- 二の腕の内側(目立たないところでOK)を清潔にします。
- 使いたいカラー剤を清潔にした腕に綿棒を使って5〜10円玉サイズに塗り、30分放置します。
- 時間がたったらコットンなどでふきとり、一次観察をします。この時赤みや腫れ、かゆみがあったらすぐに使用を中止し、状態によっては皮膚科へ行きましょう。
- 30分で異常が見られなければ、そのまま48時間放置します。ジアミンアレルギーは遅延型で、人によっては48時間後に発症することがあるためです。
なお、ほとんどの美容院でも事前にパッチテストをしたいと伝えれば快く引き受けてくれますので、気軽に相談してみましょう。
その3、 1度でもアレルギーを疑う症状が出たら皮膚科を受診
パッチテスト中、あるいは染毛中などに皮膚に違和感を感じる、体調不良が起こる場合はすぐに使用を中止し、皮膚科を受診して下さい。
また、皮膚科ではパッチテストを含めたアレルギー検査を行うことも出来ます。
医師や検査技師の指導管理のもとで行うことが出来るので、「自分でパッチテストをやるのは不安」という人は皮膚科でアレルギー検査を依頼してください。
その4、カラー剤ではなくヘアマニキュアやカラートリートメントを
もしもヘアカラーアレルギー、あるいはそれを疑われる症状を起こしたことがある場合は、ヘアカラー剤そのものを使用しないようにして下さい。
くり返しになりますが、1度目は軽症でも2度目は重症になりかねません。
ただし、ヘアマニキュアやカラートリートメントにもタール剤などの化学物質は使用されていますし、それにアレルギー反応を起こす方もいます。アレルゲンがわからない、という人は必ず使用前に医師に相談するようにして下さい。
その5、肌の弱い人はカラー間隔をあける
化粧品やヘアケア製品が肌に合いにくい、乾燥しやすい、というような「肌質が強くない人」はヘアカラーを使用する間隔にも注意して下さい。
染毛自体は1.5ヶ月周期くらいが理想とされていますので、その間白髪や髪の根元が気になったらヘアマニキュアを使って間隔を調節するようにすると、頭皮ダメージを防ぐ効果もありますよ。
美容アイテムで健康美を損なわないように
ヘアカラーは今や思春期から高齢者まで気軽に楽しめる美容アイテムです。
髪の色を変えることで肌色まで違って見えますし、気分、服装、中には好みまで一新されるようなリフレッシュ感を味わえる人もいます。
白髪で悩む人にとっては生活の中になくてはならない、という感覚をお持ちの方も多いでしょうし、それは全く無理からぬ心情です。外見に気を使うことで心の健康にも影響があるわけですから、美容アイテムはどんどん取り入れて良いと思います。
せっかくいきいきと健やかな生活を送るために購入した美容アイテムが、アレルギーなどによって健康美を損なうアイテムになってしまう可能性もゼロではないのです。
自分の健康、そして健康美を守るためには自衛手段を講じるしかありません。
- パッチテストなど予防対策を行う
- 体調が悪い時には行わない
- 何か異常が起きたらすぐに病院へ行く
この3点だけでも守るようにすることで、美しさ、健やかさを保つことにも繋がります。