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脱毛症

びまん性脱毛症とは?症状や原因、対策までしっかりチェック!

髪をしばったり、シャンプーをしていたり、と普段の何気ない行動のなかでふとそんな実感をしたことはありますか?実はその症状、「脱毛症の症状のひとつ」と考えた方が良いかもしれません。

円形にはげてもいないし、額が後退しているわけでもないから大丈夫、と思わないようにして下さい。むしろ女性の場合、この「なんとなく減る」脱毛症の方が圧倒的に多いのです。


びまん性脱毛症の症状とは?

びまん性脱毛症は女性に多い脱毛症です。

また、少しずつ少しずつ進行していくために自覚症状に乏しく、十数年をかけて「髪がまばら」な状態を作ってしまうので、ある日愕然としてしまった、という女性も少なくはありません。

びまん性脱毛症は大きく2種類に分けられる

びまん性脱毛症、と一言で言っても、その主要因によって更に2種類に分けられます。

女性男性型脱毛症<FAGA>
男性ホルモンの関与によって額が後退する、頭頂部が無毛状態になる男性型脱毛症AGAと同様の症状として位置づけられています。加齢などによる女性ホルモンの低下が関与しているとされていますが、具体的な原因はまだ明らかになっていません。そのため完治のための医薬品は無く、緩和改善する対症療法が重要になります。
休止期脱毛症
ヘアサイクルの急な変化、体質の変化、疾病の合併症によってヘアサイクルが急激に乱れ、通常3〜4ヶ月の”休止期”が半年、1年と長くなってしまうために新しい髪が生えてきづらくなる状態です。根本を改善すれば治療も可能と言われていますが、完全に回復させるには2〜3年を要する可能性もあります。

どちらもびまん性脱毛症ですが、その要因によって改善方法や治療期間、日常の注意点などが微妙に異なってきます。

「びまん」とは何?

たまに耳にする「びまん性◯◯」ですが、そもそも「びまん」の意味をご存知でしょうか。

「びまん」は実は医学用語で、「全体に」「広範囲に渡って」という意味です。対語に「限局性」があります。

びまん性の場合、患部がピンポイントではありません。そのため一部だけを治療しても効果が薄く、全体的・全身的な治療が必要になるケースが多くなります。

結果的に全体改善までに時間がかかることが多く、自己ケアだけでは満足な効果が出ないこともよくあります。

髪が全体的に細くなる、減る

びまん性脱毛症の最も多い症状として、髪が全体的に細く、柔らかく、かつ毛量が減るという状態が起こります。

びまん性ですから、一部ではなく全体的にまんべんなくこのような状態になるため、異常に気が付きにくいというのも特徴のひとつです。

元々髪の毛の量が多い、という人は特に問題に気が付きにくく、「最近髪がまとまりやすくなったな」とさえ感じられる期間もあるくらいなのですが、2〜3年後に「随分減った…」と感じる頃にはびまん性脱毛症がかなり進行している状態となる場合もあります。

コシがなくなり、ボリュームが半減する

髪1本1本の状態も脆いものになります。髪の元になる細胞そのものが痩せていくため、ハリやコシが無くなり、全体的にクセのつきやすい柔らかい髪になります。

このため脱毛そのものは目立たなくても、頭皮がうっすらと透けて見える、髪の色が明るくなってくる、ヘアセットがしにくくなってくるなどで気がつく人もいます。

長期間を経てまばらな頭髪状態になる

髪が細くなっていくのと同時に、抜け毛の量も徐々に増えていきます。

とはいえ、円形脱毛症のように「ごそっ」と抜けるということはありません。日々の自然な抜け毛の量が少しずつ増えていくのです。

通常、成人女性の場合100〜200本の抜け毛が毎日起こります。ですが、この後にはすぐに新しい毛髪が生え始めているため髪が抜けたとしても頭皮が透けて見えてしまうようなことはあまりありません。

しかし、びまん性脱毛症の場合この新しい髪が生えてくる「ヘアサイクル」にも乱れが生じているため、髪が抜けても生え変わるための新しい髪が作られていない状態になります。

結果的に頭部全体の髪が間引きされたようになり、頭皮がうっすらと透けて見えてしまいます。

びまん性脱毛症はなぜ起きる?

びまん性脱毛症の多くの理由は、実はまだ解明されていません。

FAGAについても直接的な原因はまだ未解明ですし、休止期脱毛症についても複数の要因が重なるため特定は難しいと言われています。

しかし、その多くの場合「女性ホルモン」が影響していると考えられています。

女性ホルモンの分泌量低下

男性も女性も等しく、髪の毛は「ホルモン」という内分泌成分によってコントロールされています。

このホルモンにも種類は沢山あるのですが、髪の毛に栄養を与え、ハリやツヤ、コシ、そして毛量を与えるのが女性ホルモンのエストロゲンです。

しかしこの女性ホルモンは様々な理由によって簡単に分泌量が減少してしまいます。特に女性にとっては、身体の変化などでも非常に容易に変化します。

<女性ホルモンが減少する代表的な要因>

  • 加齢
  • 妊娠や出産、授乳
  • ピルなど生殖器に関与する薬剤の服用
  • ストレスや精神的不安
  • 喫煙や飲酒

実に日常的に、誰でも起こりうることが女性ホルモンを減少させます。つまりびまん性脱毛症は「誰にでも、いつでも」起こる可能性がある症状なのです。

紫外線ダメージ、ヘアケア不足によるダメージ

女性ホルモンのバランス変化以外にも、髪や頭皮のダメージが蓄積されることによって発症するケースもあります。

頭皮の紫外線ダメージ
盲点にもなりやすい紫外線ダメージ。子供の頃から無防備に紫外線を浴び続け、なんのケアも行っていない…という場合、その頭皮のダメージは大人になってから脱毛症などの形で出てくることがあります。
ヘアカラーやパーマなどの薬剤ダメージ
また、思春期以降急激に増える傾向にあります。月に一度など頻繁にアルカリ剤を髪や頭皮に施している場合、徐々に頭皮中の細胞が変化、劣化を起こし髪が抜けやすい状態を作っているのです。

偏りの強いダイエットや偏食による栄養不良

女性の脱毛症原因として大きいのが、実はこのダイエットによる栄養不良です。

この飽食の時代に栄養不良?と疑問に感じられるかもしれませんが、こうした脱毛症を引き起こすのは「偏りのあるダイエット」と言われるもの。「◯◯だけダイエット」や「◯◯抜きダイエット」というものです。

栄養素は基本的に、1つの栄養素をエネルギーにして別の栄養素を吸収する、という作用の仕方をします。偏りのあるダイエットでは、こうした連鎖が生み出せず栄養の吸収率が著しく衰えてしまいます。

身体機能に影響のあるところから栄養は使われていきますので、例えすべて抜け落ちても生命にはあまり関与しないとされる毛髪の優先順位は最下位に等しいといえます。つまり、偏った栄養補給では髪にはほとんど栄養が送られていないのです。

同様の理由で、食べ物の偏食も髪への栄養不良を起こします。野菜を一切食べない、肉類は好まない、豆類が嫌い…など、バランスを失った栄養補給ばかりしていると、髪はどんどんやせ衰えていきます。

びまん性脱毛症の治療と予防、どんな対策が出来る?

びまん性脱毛症は原因がわからない部分も多いために、「完全に防ぐ」というのは結論としては難しいものです。しかし、ホルモンバランスを整え「発症しにくい状態に整える」ことは可能。それにはどのような方法があるのでしょうか。

髪の発毛と頭皮の血行促進を促す薬が主薬

FAGAや休止期脱毛症と診断されると、主に外用薬が処方されます。

特にミノキシジルという薬効成分が血行促進と栄養補給に優れているとされ、男性にも女性にも有効であることから日本皮膚科学会の脱毛症改善のためのガイドラインでも推奨されているお薬です。

また、内服薬では女性の場合パントガールというお薬が開発されています。

男性脱毛症に使用されるフィナステリド剤は女性や胎児にとってあまり良くないため使用を控えるとされていましたが、このパントガールは髪を育てるために必要なケラチンタンパク質、アミノ酸、ビタミン類の補給に効果的とされています。

薬剤によるもの、疾病によるものはその治療が先

ピルを始めとする女性生殖器に影響を与えるお薬を服用している場合や、甲状腺障害など女性ホルモンのバランスを著しく損ないやすい疾病によってびまん性脱毛症を起こしていると考えられる場合には、まずそちらの治療を優先することで脱毛の症状が緩和することがあります。

ただし、お薬の服用によって脱毛症を起こしているとすれば、そのお薬の服用をやめると元々の目的が損なわれることがありますので、必ず医師と相談し代替薬を処方してもらう必要があります。

また、甲状腺障害などの病気を抑制するお薬の中には、脱毛症状を副作用とするものもいくつかあります。このため一時的に脱毛が進むこともあるので、副作用の可能性や起こった場合の対処についても医師、薬剤師に相談して下さい。

心因性の場合は向精神薬や安定剤も有効

過度なストレスなどによる精神的なものが原因である場合、まずはそのストレスを除去する必要があります。

しかし心因性の場合に難しいのは、除去すべき原因がひとつではなかったり、すぐに除去出来る状況や環境を作れないという場合が多いこと。

その場合、対症療法として向精神薬、安定剤などを服用することで自律神経のバランスが整えられるケースもあります。

ただ、これが根本の解決にはならないという場合も多いので、まずは「何が一番お大きな要因か」「自分がどうしたいか」など、客観的にストレスと向き合い改善策を見つけることも必要です。

生活習慣の抜本的改革が最優先

喫煙や飲酒の習慣がある人や、偏食、睡眠不足など生活リズムに乱れを感じる人は、そうした生活習慣の改善を指導される場合もあります。

こうした生活リズムの乱れはびまん性脱毛症に通じることももちろんですが、その他の症状や疾病を呼ぶ原因にもなります。また、長期的に考えるとがんや心臓病、脳の病気など命に関わるような疾病リスクにもなり得るのです。

また、このような生活習慣は「蓄積する」のが最も怖いところです。大した影響はないと思えたとしても、実は知らない間に体に溜まっていき、ある日思ってもみないような症状として現れるのです。

不摂生をしている時間が長ければ長いほど、改善にも時間がかかります。ゆっくり、少しずつ自分の「健やかな状態」を目標にして根気よく取り組みましょう。

女性向け育毛剤を日常ヘアケアに取り入れる

お医者さんに処方されるお薬の方が効果は高いといえますが、市販にも育毛効果のある薬剤を配合した育毛剤が増えています。

女性用育毛剤は男性育毛剤よりも「ホルモンバランスを整える」ことに特化しているものが多く、低刺激かつ長期間使用しやすいものが多いとされています。

女性ホルモン様成分「イソフラボン」や、血行促進効果の高いトコフェロール(ビタミンE)が配合されているものなどが人気が高い傾向にあります。

安易な自己診断は禁物!専門家と二人三脚で

びまん性脱毛症は非常に多くの女性が悩む症状です。

見た目の悩みにも直結しやすく、これがきっかけとなって精神的に落ち込みやすくなったり、人前に出たくなくなるなど日常生活にも支障が現れることも珍しくはありません。

また、原因が明確ではないので自己対処も非常に難しいものがあります。医師の処方薬だけで治るものでもありませんし、自分の生活改善だけで根治するものでもありません。

症状に悩む本人、家族、医師、と色々な角度から積極的に症状にアプローチする「二人三脚法」が、最も確実で早い改善法。まずは恥ずかしからず、自分の悩みについて専門家に相談するところからスタートしてみましょう。

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