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湯シャンの効果は万人共通?人によっては合わないことも!
最近では湯シャンに関する専門書まで発売され、実践してみようと考える人も増え始めています。湯シャンとはどのようなものなのか、また、誰にとっても効果があるものなのかを掘り下げてみましょう。
頭皮を守る?!湯シャンとは何なのか
湯シャンとは何なのか?と考えた時、ほとんどの人は「髪にいいんでしょ?」というのではないでしょうか?「なぜ髪にいいのか」まではあまり考える人はいないかもしれません。
まずは湯シャンの基本定義を確認し、そこからどんな効果が期待出来るのかを考えてみましょう。
基本は「お湯のみで髪の毛を洗う」こと
まずは超基本、湯シャンの定義です。
非常にシンプルですが、これ以上でも以下でもありません。難しいことは何もありませんし、実践しようと思えば今日からすぐにでもスタートが出来ます。
お湯の温度はおよそ40度近くになるとシャンプーとほぼ同程度、皮脂や汚れを洗い流す洗浄効果があると言われています。
もちろん40度のシャワーを一定時間頭から浴び続けるというのは熱すぎて困難ですから、37〜38度位の温度で、少し長めにじっくりと頭皮を洗うほうが良いですが、1日の汚れの大半はこれだけでも十分に落ちるのです。
継続することで髪質や頭皮環境を改善
湯シャンは1日やっただけでは効果はあまり感じられません。しかし2〜3ヶ月継続し続けることで、頭皮環境が整えられ「お湯だけでも十分に落ちる量」の皮脂分泌まで落ち着くとされています。
頭皮や髪のターンオーバーは正常であれば1〜1ヶ月半と言われています。個人差はありますが、ターンオーバーを2,3回繰り返す(3ヶ月〜半年前後)くらいまで継続すると髪質や地肌の変化を実感出来る人が多いようです。
湯シャンの効果の理由を知りたい!
湯シャンは非常にシンプルな方法。であるのにも関わらず、多くの著名人が実践し本まで出版されているのは現代人にこそ必要な「引き算美容法」であることが理由です。
では湯シャンによって、それまでの生活から何が引き算され、どんなプラス効果が生まれるのでしょうか?シンプルな方法が生み出す効果の理由を探ってみましょう。
シャンプーに含まれる界面活性剤が皮膚トラブルを招く
「シャンプーを使わない」ことによって生まれる最大のメリットは「シャンプーに含まれている界面活性剤などの刺激物に、一切触れることがない」という部分でしょう。
言わずもがなではありますが、人間は皆かつてはそのような化学成分を使って髪を洗うという文化はありませんでしたし、私達日本人に至っては明治中期〜後期、過去100年くらいしかシャンプーを利用していません。
私達の体に元々組み込まれていない「化学成分」を利用し続けることのリスクには次のようなものが考えられます。
- 地肌の炎症やニキビ、皮膚炎
- 乾燥肌へ変化させる
- 化学成分による毛穴づまり
- バリア機能の低下
- 頭皮環境の老化促進
これらの化学成分によるリスクを完全に回避するためには、「使わない」という方法以外に選択肢はないのです。湯シャンの概念は根本的な「人間の本来あるべき状態」に着目した方法のひとつというわけですね。
頭皮を守る常在菌を湯シャンで守る
私達の体は常にある種の「菌」が付着しています。
菌と聞くとすべてが不衛生で悪いもの、というイメージを持つ方もいますが、実はこの菌は私達の体を守る上で非常に有効なものなのです。
- 常在菌が老廃物を分解し消化する
- 不要な物質や毒素を分解する
- 大気中などに存在する病原菌などの侵入を抑制する
常在菌の働きは私達の体の新陳代謝に一役買っているというわけですが、先に述べたような化学成分や体質の変化によって一気に弱ってしまうことがあります。
シャンプーを使わないことによって、過剰に常在菌を洗い流すことが無くなりますので、体にとって良いバランスを保ちやすくなります。
「お腹の中のバランスを整える」のが健康に良いと言われているように、体の外側を守る常在菌のバランスを整えることも美容にとっては良いことなのです。
良質の皮脂が天然の育毛剤、かつ整髪料になる
シャンプーに含まれている化学成分は時として、体の潤いを保つための油分や水分まで流しきってしまうことがあります。
しかし、体の細胞にとっては潤い成分は健やかな状態を保つためには必要不可欠な物質。足りなくなればカサカサとした細胞しか生まれません。
適切な髪や地肌の水分や油分は髪の先まで素早く浸透し、まとまりやすいしなやかな状態を作る効果があります。
髪が広がりやすい、うねりやすい、もつれやすいといった悩みも、良質な潤い成分がバランスよく供給されていれば解決できるもの。湯シャンは本来あるべき自分の髪の状態に戻しながら、本来自分に備わった潤い力を活性化させるのです。
洗いすぎを予防し白髪や抜け毛を抑制
髪の洗いすぎを防ぐことによって守られる水分や皮脂は、地肌に一定期間とどまることによって毛根の栄養分として分解されていきます。
もちろんそれで100%予防できるといったものではありませんが、白髪や抜け毛の原因の何%かは化学成分や潤い不足によるものですから、そうした原因にノーコストでアプローチできるのはちょっとした魅力かもしれません。
誰にとっても湯シャンは効果的なの?
そんなに湯シャンが良いコトづくめなら、なぜ万人に浸透しないの?という疑問を持たれた方もいらっしゃるかもしれません。
そう、実は湯シャンは「万人共通の美容術」ではない、という声が、皮膚科医や薄毛研究の現場、美容スタイリストなど複数の専門家から上がっているのです。
湯シャンはどのような人に向いていて、どのような人に不向きなのかをしっかりチェックし、自分に合う方法かどうかを見極めるようにしてみて下さい。
人によっては逆効果が起きることも
湯シャンを実践してみた、という口コミを見てみると、「効果を実感した」という人の数と同じくらい「効果を感じなかった、逆効果になった」という声があります。
- 始めて1週間、髪のべたつきと臭いが気になる
- 3日めあたりから地肌に痒みが出た
- 髪がペタっとなってしまい、不衛生に見える
こうした声の原因にはいくつかの要素が考えられます。
- しっかりと湯シャン出来ていない
- 「お湯で髪を洗う」のが湯シャンですが、大半の場合「お湯で髪を湿らす」程度で完了してしまっている人が多いようです。髪に汚れや余計な油分が残っていることで、雑菌が繁殖し臭いやべたつきの素になってしまうことがあります。湯シャンの場合はシャンプーを使うよりも2倍は丁寧に時間をかけて洗いましょう。
- 思春期や青年期にはあまり向かないことも
- 髪や地肌に大きく影響するのはホルモンです。このホルモンは思春期から青年期、おおよそ20代後半くらいまでの間に最も分泌が盛んになり、この際髪や地肌は脂質や水分分泌も盛ん。そうした状態の時に湯シャンをしても豊富な油分を流しきれず、結果的にベタッとした手触りの状態になってしまうことがあります。
- 髪が長い人は頭皮から汚れを落としにくい
- 特に女性に多いロングヘアの場合、湯シャンだと頭皮の汚れを完全に落としきれないことがあります。頭皮から浮かせた汚れが長い髪の途中で溜まってしまい、べたつきや臭いの原因になることがあるのです。
整髪料を使った日は湯シャンだけでは落としにくい
ワックスやムース、ヘアスプレーなど日中の時間帯に好きなヘアデザインの形をつくるための整髪料。毎日愛用している方も多いと思いますが、整髪料がついた髪も湯シャンにはあまり向いていません。
ワックスやムースなどを付けた後、手のべたつきをお湯だけで洗い流すのはとても大変ですよね。それと同じことが髪にも地肌にも起こっているのです。
整髪料を使った日は極力無添加に近いクレンジングシャンプーなどを使い、素髪でいられる日だけ湯シャンにするなどの使い分けをするのが理想とも言えますね。
慣れるまでに時間が必要
皮脂や水分、常在菌を根こそぎ洗い流すシャンプーを用いた生活に慣れている私たちは、むしろそれらを使わない「ありのままの髪の状態」にこそ慣れていません。
それゆえ常在菌が発する臭いや適切な皮脂バランスによる髪のテカリなどが不衛生に見えてしまい、結果的に「余計に悪くなった」と感じる場合もあります。
湯シャンによって皮脂量のバランスが落ち着き自然なツヤが生まれるまでの期間には個人差があり、1〜2ヶ月かかった、半年かかったという人もいます。
そんなに時間をかけたら精神衛生上良くない!と感じる場合、まずは1週間に1〜2回の湯シャン生活から始め、慣れを感じたら少しずつ湯シャンの日数を増やすようにして下さい。
アトピーなど皮膚炎トラブルがある人は医師に相談を
湯シャンが髪にいい、地肌にいい、と言われ始めて数年ですが、あくまでも生活上の知恵を利用した美容術です。
すべての人に適しているというわけではありませんし、すべての人の体質を改善するといった特効薬でもありません。「毒になる要素が一切ない美容術」と言い換えることも出来ます。
もしもそうした症状がすでにあるのであれば、まずはお医者様に湯シャンを開始してみたい旨を相談して下さい。
体調や体質によって推奨される人、推奨されない人がいるのが美容健康術です。まずは自分の体質、体調、向き不向きを冷静に検討してみて下さいね。