figure mask

白髪

白髪が生まれるメカニズム。黒い髪が白くなる仕組みと基礎知識

人種も問わず、欧米人であれアジア人であれ白髪は生えますが、元々黒髪や黒に近い色調の毛質であった場合、色素のギャップが大きく非常に目立ってしまいます。

だからこそなのか、欧米の人はあまり白髪ケアに対して大きな関心を寄せないのに対し、アジアの人たちは非常にこまめにセルフケアを施します。しかし残念ながらそのメカニズムまで知り尽くしている人が少ないために、白髪を「減らす」方法を実践している人はあまり多くありません。

そもそも白髪はなぜ生まれてくるのか、まずはそのメカニズムをチェックしてみましょう。その中に、白髪を予防するヒントも沢山見つけられるはずです。


白髪が生えるメカニズムとは

白髪が生える、という現象にはいくつかの工程があります。髪は生命体の一部、有機物ですので、目に見える部位に生えてくるまでの間に「細胞分裂」といった様々な過程があるのです。

この白髪が生えてくる仕組みをわかりやすく解説致します。

色素幹細胞の機能不全

白髪がなぜ生えてくるのか、という根本的な理由は「色素幹細胞の機能不全」です。

色素幹細胞とは毛根の根元付近に存在する「バルジ領域」という範囲に存在する細胞のことで、主に髪の毛や肌などを着色するための色素細胞(メラニン色素)を生成・供給するための大元の働きをしています。

この大元、生産工場の土台が損傷することで、メラニン色素を作る機関が十分に機能しなくなり、結果的に着色ができなくなります。これが白髪の根本的な原因です。

色素幹細胞が機能不全を起こす理由

色素幹細胞がうまく働けなくなってしまう要因にはいくつかの可能性が上げられており、その中に私達が最もイメージしやすい「加齢」も含まれています。

  • 加齢
  • 栄養不良
  • 幹細胞に影響を及ぼす病気
  • 精神的ダメージのあるストレス

加齢についてはほぼすべての生物にとって逃れられない自然現象ですが、色素幹細胞にとって悪影響を及ぼす病気が潜んでいる可能性があることを忘れないようにして下さい。

また、ストレスなどの場合にも、徐々に精神的健康を蝕んでいくこともありますので十分な注意とケアが必要です。

色素幹細胞がメラノサイトを作る

色素幹細胞は一定の栄養、酵素、光刺激を受けることでメラノブラストという細胞を作ります。このメラノブラストが更に変化し、メラノサイト(色素細胞)が生み出されます。

このメラノサイトは紫外線などの光刺激を受けることでアメーバのような形に変化し、周囲の細胞に着色を施すメラニン色素を作るための細胞です。

このメラノサイトが色素を作り出すのですが、土台である色素幹細胞に異変が起こると

  1. メラノブラストが起こらない
  2. メラノサイトが生成されない
  3. メラニン色素が発生しない

という状態になってしまうことから、その周囲の毛髪が白いままになってしまうのです。

髪色の濃淡はメラニン色素のバランスで変わる

色素幹細胞が機能不全を起こしていたとしても、完全に停止してしまった状態でなければある程度は着色が進みます。しかし、根本の活動が弱ければその着色力も低くなってしまうため、まだらになったり今までよりも明るい茶色の髪が生えてくる場合があります。

あまり知られていませんが、メラニン色素には2種類が在ると言われています。

  • ユーメラニン(黒色メラニン)
  • フェオメラニン(黄色メラニン)

この2種類が混ざり合って着色するのですが、日本人は圧倒的にユーメラニンの量が多いとされています。そのため毛髪や目の色が黒くなります。

この2種類のメラニン色素がうまく生成されなかったり、バランスが崩れたりすると髪に着色するための材料が減り、白と黄色、茶色が混ざりあったようなまだらの髪が生えてきたり、自毛の色が明るくなり始めるなどの現象が出てきたりするのです。

もしも抜け毛の中に、やたらと金髪に近い髪を見つけたり根元と毛先で色調が違うなどの斑の髪を見つけたら、毛髪に関する細胞がうまく機能していない状態の先触れかもしれません。生活習慣や食事内容を見直すきっかけにすると良いでしょう。

生まれたての髪の色のまま生えてきてしまう

元々、生物の毛は体の中で生まれた瞬間はすべて無色透明、透き通った銀色の状態です。人種はもちろん、生命の種類も問わず、ヒトであろうと犬や猫であろうと、どんな黒々しい猛獣であろうと同じです。

そんな無色透明な髪の毛の赤ちゃんの近くに「色素幹細胞」があり、その色素幹細胞と髪の毛の赤ちゃんの間に「バルジ領域」という範囲があり、そのバルジ領域の内部において「メラノブラスト」「メラノサイト」という色素生成工場が作り出され、その工場内においてメラニン色素が2種類ブレンドされ、髪の毛に着色していきます。

これらの工程(細胞分裂)のどれかひとつが欠けても、きちんとした着色作業が出来ないため、頭皮から目に見えるところまで生えてきても、その髪は生まれたままの姿になってしまいます。これが人々を悩ませる白髪のメカニズムです。

酵素やコラーゲンが減少しても白髪は生える

色素幹細胞や色素細胞が活発に機能するためには、新陳代謝の向上や栄養吸収率の向上が欠かせません。しかし、これらの身体的機能は肉体の衰えによって落ちてきてしまいます。

特に色素幹細胞やメラノサイトの働きにとって、酵素とコラーゲンが大切なエネルギー源となっていることがわかっています。

例え色素幹細胞が正常に機能しメラノサイトが十分に作られていたとしても、それだけではメラニン色素は作ることが出来ません。チロシナーゼという酵素が毛根部分に供給されていないと、メラノサイトという工場があっても原材料がない…という事態となり色を作ることが出来ないのです。

また、ある種のコラーゲンの生成率が落ちると、大元の土台である色素幹細胞自体が作られないということが最新の研究によってわかっています。

エネルギー源の吸収率を落とさないということが、白髪を「増やさない」ということの最大のカギ。そのためには新陳代謝力を上げる運動、睡眠、食事という基本三原則をおろそかにしてはならないということがお分かりいただけると思います。

「幹細胞」は再生医療分野においても注目される

各再生医療機関がこの「白髪が生えてくるメカニズム」に注目し、「白髪を黒髪に戻す」「白髪の予防率を高める」という夢のようなプロジェクトの実現に向けて動き出しているのをご存知でしょうか。

特に色素幹細胞にとって必要なのが17型コラーゲンであるということを東京医科歯科大学や慶應義塾大学の研究チームが発表しています。

ある種のマウス実験において、人為的に17型コラーゲンの働きを停止したところマウスに脱色・脱毛が起こったと発表し、色素幹細胞にとって大きな影響を持つ成分であると結論を出しています。

残念ながらこの17型コラーゲンの補給方法や欠損しないための方法などについてはまだわかっていませんが、近い将来こうした実験が「白髪の治療」「白髪の予防」となる可能性も大いにありえます。

不必要なストレス要因がこうした研究によって解消されるとしたら、非常に嬉しいことですよね。

新陳代謝を損なわない生活習慣を心がける

白髪が生えてきた時、最初に思うことは何でしょうか?

「齢かな…」

そう答える人が大半だと思いますが、白髪が生えてくるメカニズムは一概に年齢のせいだけではないことを証明していることがお分かりいただけたと思います。栄養不良や病気など、色素幹細胞の機能不全が起これば例え子どもでも白髪は生えてくるのです。

まずは日常の生活習慣の中で、「健やかな状態を保つ」ための意識がけが大切です。

  • バランスの良い食事と適切な水分補給
  • 適度な運動、喫煙などの嗜好品への見直し
  • 6時間〜8時間の適切な睡眠

どれも当たり前、しかし非常に難しいポイントばかりです。すべてを一度にやろうとしてもほとんどの人は無理かもしれません。

まずはどれかひとつだけを実践してみましょう。食事内容を見直す、睡眠時間を増やすなどできそうなことからで構いません。

そのひとつの行動が、あなたの体に眠る色素幹細胞を守り、白髪を増やさないという行動につながっていきます。

Comment

ページトップへ